あはれ蚊

猛暑も終わり一段落着いた今日この頃、
私はいつもながら手順の悪さから遅くまで仕事をしていた。

ふと、小さな黒い物体がひらひら落ちてきて
手の甲に止まった。
よく見るとそれは蚊、着地に失敗したのかひっくり返っている。
思わず叩いてつぶそうとしたが、
仰向け状態のそいつは必死になって起き上がろうとしている。
そこで、しばしのあいだ様子をうかがってみることにした。

一生懸命に立ち位置を確保しようと努力していたようだが
なかなかままならない。
やっとのおもいで私の手の上で落ち着いた体制になったが
ここまでの経過がかなり辛かったのか
私は彼がインターバルをとっているように思えた。(笑)
そしてその後、急に動きが止まった。

「おや!どうしたのかな?」と.........。
私の粋狂な性格は自分でも呆れるが
蚊を爪楊枝で突ついてみた......、動かない。
どうやら絶命したようだ。
残念ながら最後の一刺しはかなわなかったのだ。

私はティッシュを一枚取り出して
手の甲から拭き取り、コンロに火をつけて
そのまま簡易火葬をした。


遠くさかのぼる江戸時代、夏の終わりになると
勢いもなくフラフラと飛ぶ蚊の事を人は「あはれ蚊」と呼び、
手で打つ事をしなかったという。

血を吸ってかゆみを残す、あまつさえ人間にとって
そんな害虫でしかない小さな命に
当時の人は情をかけていたというわけだ......。

何か現代からは想像だにできないのんびりゆったりとした
光景を思い浮かべた

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Commented by ひろみん at 2012-10-07 21:20 x
何だか美しい絵を見ているような、哀愁漂うメロディが聞こえてきそうでした。

私なら瞬殺でしたわ(笑) 夏場は虫さされの薬が手放せません。アレルギー反応が酷いんです(泣)
Commented by まんまに at 2012-10-07 21:43 x
おやおや!それは大変ですね!自分は直接アルコールを塗布して刺される事を阻止しています。
by mannmani | 2012-10-07 18:15 | 心象風景 | Comments(2)

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