カテゴリ:心象風景( 76 )

母親そして後悔

四人兄弟の私は次男坊に生まれた。
当時長男は喘息持ちで体が弱かったし
最初の子という事もあり、
まるで腫れ物でもさわるように大事にされていた。

そして紅一点の妹は文字通り
目の中に入れても痛くなかっただろう。
末っ子の弟は私と9歳離れている。
親にしてみれば最後の子が可愛くないはずがない。
故に三者三様に愛情を注がれていた。

はっきりいって中途半端な私はこの三人に比べ
それほどの関心事ではなかったように思える。

え?子供に対する愛情はみんな同じ?
そんなわけないよ!順番があるんだ!
それなりの立場の中で順番ってものが!.......、

私に対する愛情は一番下だったんだろうな!
そんな気がしていた。

そして私が23歳の時、父親は死んだ......。

その後、兄弟で一番最後に所帯を持った私に
結婚式場で母親は私にに小さな包みをくれた。
古い茶色いシミの付いた汚い箱だった。
私は大して気にも留めず、中も見ないまま忘れていた。
そしてその後、母親はガンを患い,あっけなく死んじまった。
さほど悲しくもなかったっけ.......。

その5年後、部屋の整理をしていたら
偶然引き出しに当時、渡されたその包みを見つけた。
恐る恐る開くとそれは50年前の宮参りに着せた私の着物と
当時撮った写真が入っていた。


.........、おい!お袋!ふざけんな!これ、どうするんだよ!

いまさらこんなもん、どうするんだよ.......、

愛情は四番目だったんだろ!ちがうのか!
店の開店祝いに来なかったくせに
クリスマス時期にいきなり店に来やがって
「邪魔だ!」って言ったら何も言わず帰っていったよな!

どうすんだよ!

…もう…謝れないじゃねえか!
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by mannmani | 2012-05-13 11:18 | 心象風景 | Comments(2)

横断歩道にて

薄曇りの空の下、今は昼下がり、
その日私は小学生の下校時近くに
横断歩道に立っていた。

すると学校とは逆方向から小さな柴犬を連れた
女性がこちらに向かって歩いて来る。
彼女と柴犬は横断歩道を渡り終わり
私の横を通り過ぎていこうとしたその時、

ポトッ!小さな落下音と共に植え込みのツツジの葉から
一匹のヤモリが柴犬の頭上に落ちて来た。

ふいの出来事に驚いた犬は慌てて首を振り、
ヤモリを地面に落とした。
だが必死にその場から逃げようとする彼に柴犬は容赦しなかった。
前足で尻尾を押さえて動きを止め、口に入れようとする。

トカゲの尻尾切りとはよく言ったものだ。
あっという間に本体から切り離された尻尾は
アスファルトの地面を、のたうち回っていた。

筋書き通りであるならばこのままヤモリは無事に
逃げ仰せたのだろうがところが運悪く柴犬は
切り離された尻尾に気がつかなかったのだ。

そしてふたたび口を近づけて食べようと歯を立てたその時、
初めて飼い主の女性は事の始終に気がついた。
「ああっ!食べちゃだめ!」と叫び、
力強くリードを引っぱり、行動を阻止した、
叱られた柴犬は仕方なくあきらめて、
両者はそそくさとその場を後にした。

後に残された私と頭を一噛みされて、うっすらと血の滲んだヤモリは
もう微動だにしなかった。

我々の間に吹き渡る五月の風は彼をこのまま
自然界に返してゆくのか?

しかし私はそこに奇跡を見た!
うつぶせのまま動かなかったヤモリは
震える前足で仰向けになり、大きく深呼吸を始めたのだ!
それはまるで映画のラストシーンのように思えた。

「笑わせるぜ、このザマか!
 俺ともあろう者がどうやら
 ヤキが回っちまったようだな!
 今度は向こうの世界か.....,
 ふっ!それも悪くねえ!
 なあ!そこのあんた!
 すまねえな!俺を見取ってくれるのか?
 いいかい?災いなんていつ降りかかるか、
 そんな事はわからんものだ。
 まあ、せいぜい気をつけ,,,,,ゴフッ!」

そして力尽きた彼は口元に小さく微笑みを残したまま
静かに目を閉じた。

わずか5分あまりの出来事だったがこれも一期一会、
植え込みの土にこっそり埋葬をした。
これで鳥の餌にもなるまい。

どうやら子供達も校門を出て帰って来たようだ。
「おかえり!いいかい?家に着くまで気をつけるんだよ!
 何があるかわからないのだからね!」

おわり

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by mannmani | 2012-05-02 06:54 | 心象風景 | Comments(0)

忘れ物

喫茶コーナーでケーキを食べて帰った若い男性が
毛糸の帽子を忘れていったのが二ヶ月前!
もう温かいから必要ないかもしれないが
はっきりいってデザインが縁起でもない(笑)
いい大人がもらっちゃって使用するには
あまりに現実味をおびていて洒落にならんだろ!
早く取りにおいでよ!
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by mannmani | 2012-04-29 19:09 | 心象風景 | Comments(2)

花見

本日は温かい日和で平日といえども、
沢山の人が花見をしています。
散る桜、残る桜も散る桜とはよく言ったものです。
悩み事はとりあえず置いといて、しばし往く春を
楽しもうじゃありませんか!

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by mannmani | 2012-04-09 18:45 | 心象風景 | Comments(2)

ティッシュケース

昨日ネットで知り合った友達が長野から来てくれて、
その彼は宮大工の職人さんで手作りのティッシュケースを
いただきました。
角の継ぎ目がぴったりしていて丁寧な仕事ぶりがうかがえます。
こういうかっちりとした仕事は性格も現れるもんだなあと
感心しました。
素敵なお土産ありがとう!
大事に使わせていただきます。

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by mannmani | 2012-04-05 11:48 | 心象風景 | Comments(2)

被災地より


先日、東北のある被災地から小包が届きまして
早速開けてみると中には底が錆びた缶詰と
一通の手紙が入っていました


まんまにさん、こんにちは!
先日はありがとうございました。
もう何回目になるでしょう?
そちらから送られてきたお菓子を子供たちが
うれしそうに食べるのは…、

あれからもう一年が過ぎました。
去年のあの日から時間が止まってしまったような
そんな気がしていたのですが
実はそうではありませんでした。
瓦礫の町並みも人の心も
たしかにみんな少しずつ変化していました。
大きなボラセンは撤退して10人くらいの少人数で
お寺に身を寄せていましたがおかげさまで
なんとか仕事を探して収入の道をつける事ができました。
津波に流された缶詰工場の整理の仕事です。
倉庫に残っていた在庫品は無残にもラベルは剥がれ落ち
表面には錆びが浮いていました。
それをみた時は涙がとまりませんでした。
でも、もうめそめそしてはいられません!
それにいつまでも甘えているわけにもいきません!
そしてほんの小さなお礼としてまんまにさんに
その缶詰を一つだけ送りますのでよろしかったら
召し上がって下さい。
私のいる避難所も私と娘が出ていけばお年寄りが3人だけで
子供はもう一人もいません。
ですからこの先、お菓子を送っていただけるのであれば
他のセンターの子供たちに回して下さい。
まだまだボランティアを必要としている地域はあるのですが
私たちの地域は牛歩であっても少しずつ復興しています。

最後に、今までやさしい心をありがとうございました!
東京に行く事があれば真っ先に伺いたいと思っておりますので
お会いできる日を楽しみにしています。
住所の控えはお守りの中に大事にしまっておきます。
協力して下さったお仲間のみなさんにもよろしくお伝え下さい。
感謝しております。

ではお元気で!


この手紙を読んで感じた事は
人間が勝手に光や風や土も水もすべてを恵みと思っていても
それはある時、突然悪魔に姿を変えて容赦なく人間に襲い掛かってくる。

つまり喜んだり悲しんだりしていてもそれはみんな人間の都合という事。
だとしたら地球上のありとあらゆる生き物にとって大自然というのは
敵でも味方でもなく、ただそこに事象として存在しているだけなのか?

でもそれならそれでいいじゃないか!
それを利用してこそ人間なのだから!
自然に沿って生きてゆけばいいのだ!

環境汚染を軸に原発問題など、元々自然界に存在しなかった物質を
作り出してしまった人間たちは地球にとって有害な存在になりつつある。
だからこそもう一度回帰しなければいけない過渡期にきているのかもしれない。

私の知り合いの言葉を引用するならば
「今、多くの犠牲をはらって人間は試されている、
 でもそれに負けるわけにはいかない。
 だって地球は地震という自分の身をよじってまでそれを教えたのだから!」
そう!大自然に寄り添って生きてゆく事がこの星に住むためのルールなのだ。

今回、缶詰と手紙をくれた○○さん!
僕はあなたたちを忘れないよ!
お互い寄り添って心をつないで
同じ空の下を生きていこうよ!
どうかお元気で!

最後まで読んでくれたみんな!ありがとう!
自立しようとしているこの方にエールを送って下さい!
お願いします!


※手紙の開示につきましては本人の承諾を得ていますが
 場所などの特定を避けるため内容の一部を削除しました。

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by mannmani | 2012-04-01 12:33 | 心象風景 | Comments(2)

一年前のあの日

あの日から時が止まってしまったようだった。
テレビを観るたび流れる被災地の映像と
何回も繰り返されるACのコマーシャル。

これといって被害にあったわけでないのに
食料品や消耗品の買占めに走る人たち、
政府の発表と東電の失態状況、

本当に怖いのは地震災害より
人の心ではないのかとさえ思い
人間不信になりかけた。

そして何もできない自分に
これほど歯痒く感じた事はなかった。

そんなある日、子連れの若い母親が
焼き菓子を子供に買い与えているのを見た。
うれしそうな子供の顔にふと、思い立ったのは
焼き菓子を被災地に送る事だった。

しかし経済的に微力な自分には、
おいそれとできるわけではない。

不安要素を心に抱きながらもその旨をキーボードに叩きつけた。
するとネットの仲間はそれを快く迎え入れて
大きな輪ができあがったのである。

「なんだ!まだまだ人を信じていいんじゃん!」
そんな独り言を呟きながら、もしかして本当に
救われたのは自分ではなかったのか?
そんな思いはいまでも変わらない。

まだまだこれから険しい道のりになるが
一人一人の小さな力を集めて大きな力に変えていかないと!
そしてそれが悲しみのプロローグではなく
希望の始まりであると信じたい!

※ 本当は今日で一年という括りにしたくはないのですが
  これからもあの日を忘れないでという意味で
  書き記しました。
  むしろこれからが正念場のような気がします。
  一人の10歩より沢山の1歩が大切なのだから!

あの日から協力をしてくれているすべての人達に感謝を込めて


        …まけるもんか!
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by mannmani | 2012-03-11 14:21 | 心象風景 | Comments(0)

優しい時間

何年か前、寺尾聡が主演のテレビドラマが好きで
毎週欠かさずに観ていた。

北海道の雪深い地方で静かに喫茶店を経営する
陰のあるマスターの身の回りで起こる人情話だった。

今でも雪が降るとサイフォンでコーヒーを淹れながら
雪見をしてしまう。

当時はずいぶん憧れたものだが実際そんな立場になったら
とてもじゃないが大変な暮らしになるんだろうな(笑)

写真は店内から撮った現在、降っている雪景色です
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by mannmani | 2012-02-29 11:00 | 心象風景 | Comments(0)

アメジストのクリオネ

犬、猫に続いて今度はクリオネを作りました。
休みの日がな一日、小さな自然石をながめていると
色々な形に見えてきます。

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by mannmani | 2012-01-15 14:54 | 心象風景 | Comments(2)

謹賀新年

新年明けまして
おめでとうございます!
こんな拙いブログにいつも
アクセスして下さる方々に感謝です!
どうぞ今年もよろしくお願い申し上げます。

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by mannmani | 2012-01-01 12:34 | 心象風景 | Comments(2)

おもにオリジナルのお菓子や料理をアップしていきます。
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