2017年 01月 06日
チョコレートケーキ
それは22年前、若い母親が子連れで店に現れた。
嬉しそうに「すみません、この子の誕生日なんです!
ケーキを作って下さい!」
ふふふ、まだ一才だもの、この先、覚えていないだろうな…
そしてあれから次の子が生まれてから、
毎年、パパとママ、そして二人の息子に
一年に4回、ケーキを作った。
デザインはいつも同じ、葡萄を生チョコで絞ったもの…
子供たちは大きくなった、両親よりも大きくなった。
それでも母親は毎年、必ずオーダーをくれた。
自分も来店が楽しみだった。
そして二年前、店をやめる前日、4人で店に現れた。
ママと大きくなった子供二人は、
今にも泣きそうに真っ赤に目を腫らしていた。
「おじさん、今までありがとう!
もう…もう来年のケーキは…ないんだよね…」
「ああ、20回食べたんだ、もういいだろ?」
それしか言えなかった…
あいつら、花束を持ってきた…
バイトで貯めたんだとママが言った…
あれからどうしているんだろう?
相変わらず他のケーキ屋にオーダーしてるのかな?
あの、葡萄のケーキを久しぶりに作ってみた。
いつかまた、会えるかな?
by mannmani
| 2017-01-06 00:44
| 仕事